ニットの良さをたくさんの人に伝えたい。新潟県五泉市ニットメーカー「サイフク」様の工場へ見学に行ってきた!
こんにちは、ユニークワンnote担当のイマイです!
突然ですが、みなさんは工場見学に行かれたことはありますか?ここ何年か工場見学がブームになっていますよね。
実はイマイ、小学校の遠足以来、工場見学に行ったことがありませんでした。
しかし今回、久々に工場見学に行ってきました!
おじゃましたのは、弊社ユニークワンのお客様である 有限会社サイフク様。
※サイフク様 公式ホームページ:https://www.saifuku-knit.jp/
五泉市(ごせんし)に本社をおくサイフク様。
実は、新潟県五泉市は日本有数の「ニット産地」なのです!
なぜ今回、サイフク様の工場見学に訪れたのかというと……。
ユニークワンでは日々、たくさんのお客様のWebプロモーションをお手伝いしています。お客様の中には、自社工場を持っている方も多数。
Webプロモーションの基本として、商品を実際に使うことは多々あります。でも、工場で製造工程を細かくみる機会は多くありません。
プロモーションを支援する上で、製品が作られる裏側を知ることは重要なのではないか?
そう思った私たちは、サイフク様の工場見学を企画することになりました。
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新潟から全国へ五泉ニットを販売!大手百貨店でも取り扱われる「サイフク」様とは?
まずは、今回お伺いした有限会社サイフク様についてご紹介します。
サイフク様は新潟県五泉市(ごせんし)に本社を置く、主にレディスニットを製造している会社です。
五泉市は、新潟市の隣にある街。昔からニット産業が盛んで「国内最大規模のニット産地」と呼ばれています。
そんな五泉市に本社を置くサイフク様は、創立が1963年。創業以来60年以上レディスニットを中心にニットを作り続けています。
大手百貨店や有名なアパレルメーカーとお取引している他、自社オリジナルブランドも。「mino(みの)」や「226(つつむ)」というブランドを展開しています。
minoはニットポンチョの専門ブランドで、226はニットで色々なものをつつむという楽しいブランドです。
最近では226の「見せるハラマキ」が大ヒット!「のびるニットロングスカート」も大人気になっています。
すべての製品に専用機械がある!工場見学は驚きの連続
今回、工場見学にはユニークワンから4名が参加。イマイの他に、広報担当のサクライとソガ、営業担当のシノハラの4人でおじゃましました。
入ってすぐに目に飛び込んできたのは……。
ニットで包んだオブジェ!このオブジェ、展示会に持っていくこともあるのだとか。
今回、工場を案内してくれるのは有限会社サイフク 常務取締役の斉藤 佳奈子(さいとうかなこ)さん。
サイフク様の「mino(みの)」や「226(つつむ)」のブランドマネージャーもしています。
今日はよろしくお願いいたします!
では、いよいよ工場見学スタート!
今回、サイフク様の工場では下記の場所を見学しました。
1.編み柄作成
ニット製品をどんな太さの糸で作るか、色は何にするか、模様をどうするのかを決めたら、すべてコンピューターで柄を作成していくのだそう。
ここでインプットしたものが編み機に送られ、「2.編み立」を行います。
2.編み立
サイフク様の工場には、編み機が約80台以上あるそうです!
どうしてそんなに編み機が必要なの?と思われるかもしれません。見た目は同じに見えるかもしれませんが、編み機を開けると中にはニットを編む針が。
この針は、編む糸の太さによって専用のものが必要で、同じに見えてもそれぞれが専用機なのだそうです。
だから、たくさんの編み機が必要なのだとか。
ここでご紹介した編み機は「編む」専用のもの。「編む」専用の機械の他に、まるで縫製された状態で編まれる機械(ホールガーメント)もあるそうです。
縫い目がない状態で編まれるので、肌に直接当たっても着心地がよいそう。ちょうど見学の時には、226(つつむ)のインナーを編んでいましたよ。
編み機が並んでいる横には、見たことがないくらい大きなドラム式洗濯機が。
サイフク様では、洗濯機で洗えるニットも扱っています。
洗えるニットは出荷前にこの洗濯機で洗って、一度縮みを経験させているのだとか。そのため、お家の洗濯機で洗っても急激に縮まないニットができるんだそうです。
ニットの編み目一つ一つに手作業で針を入れる!ベテラン職人のスゴ技
お次は工場の2階です。2階は「3.裁断」「4.縫製」「5.リンキング」を見学しました。
3.裁断
編み機で編みあがったニットを、型紙(かたがみ)通りに裁断していく作業。裁断には「ハサミ」や「バンドナイフ」による手裁断の他、「自動裁断機」を使います。
↑これは「自動裁断機」。スタッフの方が右上の「十字」の印を目安にニットを置いて……。
機械でニットを裁断していきます。
いくら「自動裁断機」とはいえ、実際には一枚一枚スタッフの方が、印通りに機械に置いて裁断していきます。
ニットには思った以上に「人の手」がかかっているんですね!
4.縫製
裁断してパーツに分かれたものを、スタッフさんが一枚一枚ミシンで縫っていきます。
5.リンキング
リンキングと言ってもピンと来ないですよね?イマイもリンキングという名前すら知りませんでした。
リンキングとは、ニット特有の縫製方法だそう。編み上げたニットをパーツごとに合わせていく作業です。
まずは針が円形状に並んでいる機械に、目視で編地を刺します。
なんとこの作業、縫い目にある小さな編み目の1つ1つに針を通すんです。
もう、この時点で細かすぎる作業…。
素早く作業されるスタッフさんに、思わず「すごい!」と言ってしまいました。
そして、縫い付けたいパーツと合わせていきます。
このリンキング、見た目通り職人の細かい技と時間がかかる作業です。
※時間がかかるとは言っても、イマイの目にはすごく早く感じました
手間はかかりますが、リンキングすることにより下記のような利点があるそうです。
手間暇を惜しまないことで、着心地のよいニット製品が生まれるんですね!
工場を移動中、2階の踊り場に何やら本のようなものがずらりと並んでいるのを発見しました。
これは何だと思いますか?
実はニット糸の色の見本帳なんです。
糸見本ってこんな状態になっているんですね、知らなかったです。
真夏はサウナ状態に!ニット作りは最後まで手が抜けない
工場見学もいよいよ終盤です!先ほどの糸見本の場所を経由して、「6.セット」「7.仕上げ・検品・出荷」「番外編 サンプル室」と進みます。
6.セット
仕上がったニット製品を、まずは金型(金属の枠)に入れます。
次に、スポンジの重しを置いて型崩れしないよう固定。
そして、下から蒸気を当てます!
その後、アイロンをかけてセットは終了です。
セット作業は蒸気を使うので、真夏はサウナ状態になって大変だとか。
ニットを作るには裁断やリンキングも大切ですが、このセット作業もとても大切。そして、とても難しい作業だといいます。
ニット一枚作るにも、職人の技があらゆるところで必要なのを痛感しました。
7.仕上げ・検品・出荷
セットが終わったら、最後の作業である検品をします。
デザイン通りに仕上がっているか、ニットに針が残っていないか、ここでも人の手と目によってチェックします。
番外編 サンプル室
工場見学の最後には、生産する前の重要な仕事を担うサンプル室も見学させてもらいました。
ここでは名前通り、ニット製品のサンプルが作られていました。
今日見てきた大量のニットを作る前段階には、まずはたった1枚のサンプルという試作をすることがそもそものスタートなんです。
一つの製品ができあがるまで、たくさんのサンプルを作るそうです。
そして、1つのサンプルがOKになったら、次は各色のサンプル、次はサイズごとのサンプル……。と段階に進んで、精度をあげていくんだそうです。
mino(みの)や226(つつむ)のアイディアはどこから?ブランドマネージャーの斉藤さんを直撃!
工場見学後、ブランドマネージャーの斉藤さんにお話をうかがいました。
写真ではつけていないですが、マスクも226(つつむ)では作っています。
サイフク様のホームページやインスタグラムのイメージ通りの、とてもおしゃれで洗練された方でした。
サイフク様は自社でニットのデザインから編み立て、縫製や出荷まですべて一貫して行っているそうです。
一貫した生産体制を持つ会社は今では少数になり、他社では部分的に外注するところも多いのだとか。
自社でニット製品を作り上げ、お客様の元へお届けできるのは「サイフクの強み」とおっしゃっていました。
「mino(みの)」や「226(つつむ)」のブランドマネージャーでもある斉藤様。「見せるハラマキ」などの商品のアイディアは常に考えているそうです。
「どんな時にアイディアが思い浮かびますか?」と聞いてみると、「ニットとは関係のない異業種にも、意外なヒントが隠れています」とおっしゃっていました。
「mino(みの)」や「226(つつむ)」など、サイフク様のブランドには個性的な名前が多いです。名前のアイディアが生まれたきっかけもお聞きしました。
mino(みの)のアイディアは日本の伝統的な雨具の、あの「蓑(みの)」から名付けたそう。
斉藤さん「minoは、中川政七商店さんと一緒に立ち上げました。長く着られてサイズや男女関係なく使えるものはないか?と考えて、あのようなポンチョブランドを考えたんです。
名前は開発会議中に『日本には昔から蓑(みの)という雪除けや農作業に使っているものがありますよね?』と言われたのがきっかけです。サイフクは雪国新潟の会社ですし、ぴったりだなと。『じゃあ、mino(みの)で』とすんなり決まりました」
226(つつむ)はminoからしばらく経ち、「ニットの魅力を伝えるにはminoだけでは足りない」と思って立ち上げたブランドだそう。
斉藤さん「minoは上質でシンプルなデザインなので、今度はニットのテクニックが何でもできるブランドにしたかったんです」とのこと。
他にも『サイフク』や『五泉』をもっと前面に出したいなと。それで『226(つつむ)』という名前と、『226(つつむ) 3129(サイフク) 5000(五泉)』という数字を積み重ねたブランドロゴになりました」
きっかけはマスク需要?サイフク様の商品は新潟から全国へ
コロナ前から「mino(みの)」や「226(つつむ)」のブランドを展開していたサイフク様。コロナ後に変化が訪れたそうです。
斉藤さん「コロナでマスク需要が増え、サイフクでもニット製のマスクを製造・発売したんです」
斉藤さん「マスクを売っている226(つつむ)のサイトにお客様が殺到しました。マスクもそうですが、ニットは伸びるのが特徴。ニットの持っている良さをどれだけ活かせるかが、mino・226の『ものづくり』の基本だと思っています。
ニットは織物に比べるとフォーマルさは薄れますが、着心地がいい。それを活かした商品を今後も作っていきたいです。
ニットの良さを引き出して一番成功したのが226の『見せるハラマキ』ですね。サイフクには元々一つの機械で厚みの違う編み地が作れる特殊な機械がありました。『この機械の特徴とニットの特徴を活かした商品が作れないかな?』と考えて作ったものです」
斉藤さん「今はある程度、商品のラインナップは揃ったと思っています。これからは更にお客様の目に留まるようなキラリと光るようなものを作っていけないかと思っています。」
今後は残反や残糸を使った商品も企画したいです。倉庫に使っていない良い糸がたくさんあって『これで何か商品が作れないかしら?』なんて考えています」
ニットや商品について、熱心にたくさん語ってくれた斉藤さん!
本当にニットが好きなんだな、自社の商品が好きなんだな、という気持ちがひしひしと伝わってきました。
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まとめ:初めての工場見学でサイフク様への理解が深まりました!
今回はユニークワンのお客様である、サイフク様のニット工場を見学してきました!
私にとってお客様の工場見学は初めてでしたが、普段Web広告で扱っている製品の生産過程が見られてとても勉強になりました。
今後のお客様のプロモーションに役立てたいと思います。
そして、何よりも工場見学が興味深くて面白かったです。ニット製品にもあれだけの人と手間がかかっているとは、恥ずかしながら知りませんでした!
これからはニット製品を着る時は気が引き締まりそうです。
サイフク様、今回は本当にありがとうございました!